こんにちは。
皆さんは毎日の料理の献立、どのようにお考えしょうか。
おいしくて栄養のあるものは食べたいけれど、
レシピを考えるのがどうしようもなく面倒くさい。とか
マンネリ化が止まらねぇ。。とか。
そんな感じのことをお考えなのではないでしょうか。
私もです。毎日のこととなるととっても悩ましい。
今日は、寿木けい著「いつものごはんは、きほんの10品あればいい」
という料理本のことについてレビューしてみたいと思います。
この本、なかなか良書であると感じています。
以下、個人的な解釈を加えつつ、感想を書いていきます。
著者・寿木けいさんとはどんな人か
Twitterで「きょうの140字ごはん」(@140words_recipe)を運営されている、
寿木けい(@ke_i_suzuki)さん。
2人の子どもを育てる共働き家庭の妻であり、文筆家、家庭料理人として活動されているそう。
今月でツイッター歴6年。0歳児+2歳児+働き盛り大人。この食卓方程式の解になる献立を考えるのはなかなか難しいが、6年で鍛えた料理筋のおかげでだいたいのものはさっと作れるようになり、結果、楽に暮らせるようになった。なんせ2600ツイート。数をこなせばこそ見えてくるものもありなん。
— きょうの140字ごはん (@140words_recipe) May 24, 2016
上記のツイートは2016年と少し古いですが、とても好きなので掲載させていただきました。
そのTwitterも今や10年目とのこと。料理筋もモリモリのことと思う。
著書「いつものごはんは、きほんの10品あればいい」は、そんな料理筋の鍛え方について、
余すことなく鍛え方を教えてくれる本です。私はそう思っています。
どんな本か
料理初心者向けではないように思います。
毎日、家で料理を作っている人がレベルアップするための本だと思います。
レベルアップというと語弊があるやもしれません。
無駄なものをそぎ落とし、必要なものをおいしく作るとか、
そんな感じでしょうかね。
同書の本文は「私たちは作りすぎている」の見出しから始まります。
ご友人の体験をもとに、
<情報過多な世の中において、毎日のレシピを組み立てることの難しさ>
をあぶり出して問題提起しています。
私は、料理は好きですが、やはり献立づくりは悩ましいものでした。
そんな折、「きょうの140字ごはん」の方が本を出されたと聞いて、
なんとなく立ち寄った駅前の本屋で買ってみたのでした。
何が書いてあるのか
同書に書いてあるのは、こんなことだと思います。私の解釈です。
- 10品のごはんをベースに献立を組み立てるという、毎日のごはんの作り方の「型」の提案とその応用例
- そのために必要となる知識や道具、考え方
- 料理にまつわる、著者の経験を基にしたエッセイ。
料理本でありながらライフハック本としても優秀
また、同書は時間に関する実践的なライフハック本でもあります。
例えば、料理を帰宅後30分のうちに終わらせることについて、
料理の時短のみならず、生活の中のルールづくり等にも言及しながら、
その必要性と方法を論じています。
その先に充実した暮らしや自己実現といったものがうっすら見える気がします。
ほら、手作りの飯で、時短で。それで時間が余ったら、人生たのしいっすよね。
逆に、普通の料理本に書いてあることが書かかれていない
普通の、一般的な料理本のレシピには、
「材料」「分量」「手順」「ポイント」と、きれいな写真が複数枚、
それも、表や図を使って視覚的にわかりやすく整理された形で書かれています。
一方、なんと「いつものごはんは、きほんの10品あればいい」には、
それらのことがほとんど書かれていません。
醤油を大さじ何杯入れたらいいのか、さっぱり書かれていないのです。
料理のページに書かれてあるのはTwitterと同様、
料理の写真と、随筆的で簡潔に書かれた作り方の概要だけです。
【牡蠣のきのこの海苔バター鍋】鍋に白菜といろんなきのこ、水、塩少々を入れて火をつける。白菜が柔らかくなったら、豆腐、バター、牡蠣、海苔(ちぎる)を加えて蓋。最後に醤油を回しかける。
二枚目は、夫が帰ってきたので二回戦め。追い牡蠣&豆腐し、焼き餅を加える。お酒は菊正宗樽酒を燗で。 pic.twitter.com/YxtPdBXXFN— きょうの140字ごはん (@140words_recipe) January 24, 2020
※↑がそのツイート。こんな感じです。
また、それとは別立てで、コラム的に料理の方法やエッセイが綴られています。
そもそもレシピなんてなくてもいいんじゃないか
そんなことを常日頃思うのです。
私は毎日料理を作る人間で、献立こそ苦労しますが、
じゃあレシピをググったところで、作り方なんてちゃんと見ない。
完成形の写真から何となく類推し、自分のスキルに応じて調理するわけです。
完成イメージと味付け・調理法の方針がなんとなぁく分かればそれでいい。
そんな方も多いのではないでしょうか。
そしてなんと、この本の目次ページには、
「レシピ通りに作らなくていいのがこの本の最大の魅力です」
なんてことが書かれてあります。
そうそう!!それが欲しかったんだよ!!って感じの本。
毎日の料理作りにおいて、本当に必要なことが書かれている
むしろ必要なのは、
料理を作る際の「選択肢」とそれを「絞り込む」「組み立てる」ための考え方
だと感じています。
それがないから、いつも困っていた。
同書には、それが載っている。
ある意味、料理筋の鍛え方の指南書みたいなもんです。
潔く、作るもの作らないものを分別し、
おしゃれでもなんでもない料理だって恥じることなく作る。
簡単で時短なんだけど、重要なところは手を抜かないし丁寧。
それを忙しいなかでどうやるかについて書かれています。
そんな料理本は今まで見たことなかったな。
共働きの忙しい家庭向けの本だと思う
この本は、共働きの忙しい家庭の料理担当さん向けなんだろうな、と思います。
同時に、料理するしないにかかわらず、夫婦そろって読むべき本だと思います。
家事の分担は現代日本人の家庭で非常に重要な関心事であり、
また、家事において「料理」は非常に負荷のかかる仕事です。
最も面倒くさい仕事かもしれません。
それがために、料理はこれまで数多の家庭で揉め事の原因となっています。
揉め事の原因は、
<お互いの忙しさへの理解のなさ>にあるんじゃなかろうかと私は考えています。
忙しく日々を過ごす中で、料理の面倒くささや大変さについての想像力の欠如が、
不用意な言動を招いたり、相手を不快にさせたりする。
「いつものごはんは、きほんの10品あればいい」には、
説教臭いことは何一つ書かれていません。
<夫が料理を作らなくて不満だ>とかそういうことも一切書かれていません。
ただ書かれているのは共働き家庭の料理のリアルと、
実践的な解決策の提案、それから、日々の料理生活の楽しみ。
「想像力」をはぐくむエッセイ
同書には、
「シンプルで応用のきくレシピで考える毎日のごはんの組み立て方」(カバー帯文言より)と、
それを書くに至らしめた筆者の想いや日々の生活を綴った随想が掲載されています。
この本を一通り読めば、
共働き家庭の料理担当がどういう状況、どういう気持ちで料理を作っているのか、
そのリアルについて、詳細なイメージが浮かんでくるような感じがします。
一通り読んで、マインドも学ぶ
一般的な料理本って、作りたいと思った料理のページしか見ないじゃないですか。
でも同書には、随想のように最初から最後まで全部一通り読む、という体験があります。
そこが新しい。その中で、暮らしの大切な一部として、料理という家事を見直すことができるわけです。
一通り読めば、家事としての料理そのものについて、
大切な知見やマインドハックを得ることができると思います。
その他雑感
“素敵”の押し付けがない
世の料理本には、こだわりレシピだったり、時短レシピだったりと、いろんなテーマのものが存在します。
どれも素敵なのですが、共通して少し違和感を感じていたのが<私、素敵でしょう?>というう”押し付けがましさ”のような感覚でした。
すこ〜しだけ、ですが。
しかし同書には、ただ忙しい家庭料理のリアルが描かれています。でも、暮らしが楽しそうなんです。
“文筆家、家庭料理人”と名乗られているだけあって、文章が軽妙で、エッセイが潔く、かっこいい。
でも、忙しいなかで料理を作らなきゃいけない、読者の味方なのです。
こんなふうになりたいと思ってしまいます。
「いつものごはんは、きほんの10品あればいい」があればいい
そんなことを思います。
私も、”料理筋”なるものを鍛えて、食生活、ひいては暮らしそのものを豊かなものにしていきたいと考えています。
この記事については、以上です。