同僚からは新生児の育児において必ずケンカすると聞いていたが、我が家ではケンカに至らず円満に乗り切ることができた。
何かの参考になればと思い、なんとなぁく我が家で実践していることについて、以下、言語化してみたい。
ケアできるうちにケアしておこう
思うに、睡眠不足や疲労、空腹、コミュニケーション不足、ケチなどは夫婦喧嘩の遠因のように見えるが、フレイルな状態を作ってしまう。そこから近因まで一気に駆け抜け、何かきっかけさえあれば一気に夫婦喧嘩まで進んでしまう。
ということで、ケアできるところは早めにケアして、ヒリついた状態を招かないようにするとか、ヒリついても可逆であるような状態を作っておくとかが必要になる。
ケンカを回避することの是非については議論があろうかと思う。雨降って地固まるというように、時にはぶつかったほうがいい、なんて話はあるかもしれない。ただ私の思うところでは、ケンカは子供や馬鹿のやることで、分別ある大人なら思いやりとか工夫、せいぜい熱い議論などで解決を積み重ねて地を固めていくものだ。
平時なら何でもいいが、新生児育児期のケンカは絶対に避けるべきだと思う。新生児育児はそれだけでめちゃくちゃ辛いので、それ以外のことで体力や精神を削るなんてことはあってはならない。
0ヶ月からの共同育児でコンテクストを共有
個人的には、男性も可能であれば1ヶ月の里帰り出産の後からの育休ではなく、0ヶ月新生児期に育休を取って夫婦共同育児をやるがいいと思っているし、そこから睡眠サイクルが確立される3ヶ月目ぐらいまで休むのがいいのではないかと思っている。
自分がもし1ヶ月後からの途中参加だったとしたら、何をやっていいか分からなくて到底使い物にならず妻に迷惑をかけまくることになっていただろうし、私もそれで気に病んでしまったかもしれないなと思う。
0ヶ月から苦楽を分かち合い、互いに役割を果たすということで、半ば戦友のような気持ちにはなれていると思う。言うなればこれは、コミュニケーション不足に対する予防的ケアとしてのコンテクストづくりである。
「喧嘩しないためにはじめから育休を取る」とは動機がおかしくないか?と思うかもしれない。私の場合も喧嘩しないためにというよりは苦楽を分かち合いたかったというのが本心であって、まぁ結果的にはそれが喧嘩しないことへ大きく寄与していると思っている。順序や因果関係はなんでもいいじゃない。
睡眠不足の回避
睡眠不足の回避が最も重要。ケンカの第一の原因が恐らくこれ。
睡眠不足は本当に良くなくて、平常時ならまずやらないヘマをやってしまうし、平常時なら言わずに済んでいる要らんことをタガが外れたように言ってしまう。睡眠不足は知性を鈍らせ、品性を引っ剥がす。
これは上記、ケンカに至っちゃうプロセスの図の「この辺はどうしようもないし……」のゾーンを一気に駆け抜け喧嘩を勃発させるクリティカルな要因になる。
これに対して最も効果的なケアは「シフト交代制育児」の実践であると思う。我が家も紆余曲折あったが今はうまく回っている。とりあえず睡眠不足は解消されるので、おすすめしたい。
真面目であることをやめる
自分が辛いと思っていることは相手も当然辛い。自分がサボりたいと思っていることは当然、相手もサボりたいと思っている。なのに自分が真面目であれば、相手にも真面目を強要してしまう。それでは居心地が悪い。
世の中のパパママよ。とにかくサボるのだ。そして配偶者のサボりを喜ぶのだ。
新生児期はとにかく、最低限で生活が回っていればそれでいい。コンビニ弁当ばっか食べたって、掃除機が掛けられなくたって、1日ぐらい風呂に入れなくたって、だれも死にゃぁしない。
今日できることは明日に回すな、というのは〆切があって成果が求められる直線的な時間軸の中での価値観に過ぎない。夫婦生活は円環的時間の中にある。何ら急ぐ必要はない。
傾聴と対話
なんやかんや言ってキツいのは母親、つまり妻である。新生児期≒産褥期であり、男にはないハンデを背負っている。なので妻の心身の保全と回復が優先されるし、そのために何が必要かを具に特定し改善していくためには傾聴と対話が必要になる。
私はあまり器用な人間ではないし、妻は我慢をしてしまいがちなので、シフト交代時に半ば形式的に「なにか困っていることはないか」「辛いことや不満はないか」をほぼ必ず聞くようにしている。
話をすることをサボるとろくなことがない。言いたいことも言えないこんな世の中じゃPOISONなのである。言いたいことを言うための本人の勇気も然ることながら、言いたいことを言ってもらうための傾聴と対話だって重要であると考える。
貧すれば鈍する。富豪的育児の推奨
貧すれば鈍する。新生児子育てはそれだけで鈍するのに、さらにケチだとマジで鈍してドンパチする。
「快適な育児環境を築いていこう!」と「ケチ」は両立しない。なので、ある程度リソースをガンガン割いて試行錯誤しよう。お金も使って色々試して、とりあえず滞りなく快適に育児を回す、富豪的育児をしようじゃないか。cf.富豪的プログラミング
なお下記アフィリエイトリンクを山ほど貼っているが、基本的には西松屋とかドラッグストアで買ったほうが安いので無視してもらって良い。アフィリエイトはこのブログのサーバー代の回収ぐらいにしか考えていない。
ある程度良いおむつを使う
赤ちゃんは不快になり興奮すると泣くが、その要因はいくつかある。おむつの快適さ、暑い、寒い、お腹が空いた、汗をかいた、などがあり、その原因を探り当てて対処しないと、あやしても意味がないことが多い。で、おむつ交換は大きな不快要因の一つであるから気を遣いたい。
最近のおむつの上位モデルには「おしっこサイン」が搭載されているので、おしっこサインつきのものを使うといいと思われる。メリットとしては、
- 赤ちゃんがなぜ機嫌悪いのか?に対する答えに早くたどり着ける
- おしっこをしていないのに無駄におむつ替えをしようとして機嫌を損ねるといった失敗がない
……といったことが挙げられる。
いくつか種類を試したが、メリーズのファーストプレミアムが良いなと思ったので使っている。勿論おしっこサインはある。最も良いのは、他のどのおむつよりも柔らかく肌触りがよいという点である。段違いである。値段が高いが、無用な不快感を招かずに済むと思えば安い。
なお、おむつを買うときは箱買いしてはいけない。箱買いのほうが安いが、新生児の成長速度は恐ろしいのですぐにサイズアウトしてしまうのである。せいぜい数百円の差なので、1、2袋ずつ刻むとよい。
ウーバーイーツや宅配ピザなど
特に新生児の育児期間中は「生活を回すので精一杯」という時期が必ず発生する。家事も抜けモレが必ず発生する。どうせ完璧にはできないと思っていても、家事の回ってなさに愕然としたりする。そんな状況で、え、今から飯つくんの??はなかなかの絶望である。
面倒くさい家事の代表格・食事の用意を是非とも手抜きしようじゃないか。
勿論ウーバーイーツや宅配ピザは高い。昼食をウーバーで頼むと2人前で2,500-5,000円ぐらいになる。高いが、めちゃくちゃしんどいときに飯を作ったり外に行ったりする必要がないと思えば激安である。しんどいときはすぐに使うべし。不安であれば、それ用の予算を組んでおくと良いと思われる。
非常時のケチは身を滅ぼす。自分が率先して節約ご飯を作る必要もないし、ましてや、妻にごはんを作らせるでない。たぶん、一生の禍根を残すことになる。
元々我が家は夫婦ともにちゃんと自炊する家なのだが、この新生児育児のときばかりは週2,3でウーバーイーツや宅配ピザに頼った。今も割と使っている。
抱っこ布団
背中スイッチ対策のアイテム。最も体力を消費する育児行為の一つである、寝かしつけの省力化においてこれは必須である。
抱っこ布団と検索すると、8,000-15,000円ぐらいの、厚みのある「トッポンチーノ」のような形のものがヒットする。が、こんなクソ高いものを買う必要は全くない。
私はケラッタの薄型メッシュのものを使っている。これで十分効力を発揮している。
この抱っこ布団のまま抱き上げて、あやす。眠ったら、そのままベッドにそっと置けばOK。背中スイッチの発動率はかなり下がる。
もう1つ良いのは、ベッド上でこの抱っこ布団に赤ちゃんを乗せたまま90度回転させれば、そのままおむつ替えができるという点である。無駄に抱き上げて機嫌を損ねることがないので重宝している。
新生児の横向き抱っこにも使えるヒップシート
新生児は首や腰がすわっておらずグラングランなので、横向きに抱っこする必要がある。しかも新生児は姿勢を自力でキープできないので、いい感じの姿勢になるよう親が腕の形を工夫しなければならない。ゆえに肩と腰がバグり、腕が腱鞘炎になったりする。
そこで役立つのがヒップシートである。ヒップシートは通例、首がすわった後の赤ちゃんを縦向きにシートに座らせることで、抱っこを楽にするというアイテムである。が、新生児の横抱きの支えに使えるものもいくつか存在する。
私はポグネーのオルガライトを1ヶ月過ぎてから購入した。腕・肩・腰が圧倒的に楽になったので重宝しているし、新生児期に買っておくべきだったなと思っている。常時ではないが片手が空くのもありがたい。
寝かしつけに音楽サブスク。ただしAmazon Musicだけはやめておけ
寝かしつけには、以下のような音を流すのがいいと言われている。
- 反町隆史「POISON」
- ホワイトノイズ
- 胎内音
- 換気扇の音
- ドライヤーの音
また、赤ちゃんの好みも存在するようである。我が家の娘は、
- 大瀧詠一の「幸せな結末」
- THE YELLOW MONKEYの「BURN」
- ニルヴァーナの「In Bloom」
……などダンディーなで重厚な男性ボーカル曲が好みのようである(何の成分が気に入っているのかは不明だし、そもそも本当に気に入っているのかも定かではないが)。一方、あいみょんは全然ダメだった。
赤ちゃんとしても好みの音楽が流れば落ち着く、安心するというのはあるが、あやすときに好みに音楽のリズムに乗って踊ることができるというのは、親としても気が紛れて大変助かるのである。なんなら親のために好きな音楽を流したっていいのである。気楽に踊っているうちに子は眠る。楽しく踊ってあやそうぜということだ。
というわけで、好きなときに好きな音楽を流せるというのは大変心強いので、何かしらの音楽サブスクリプションに加入しておくとよい。上記の音楽、全部ある。
AppleMusic、Spotifyなど様々なサブスクサービスがあるが、Amazon Musicだけはマジでおすすめしない。クソアプリである。キャッシュが溜まり始めると動作が重くて数十秒ぐらい再生が始まらない。その間に赤ちゃんがガチ泣きモードになってしまう。
私はミドルレンジ以下のAndroidスマホを使っているが、Spotifyのアプリが優秀で、サクサク動く。おすすめである。
ぴよログ+Alexa
昨今、定番になりつつある「ぴよログ」+Alexa。
ぴよログは授乳うんちおしっこ体温睡眠など、赤ちゃんのお世話の記録をスマホでできるというアプリ。適正な授乳間隔を把握できるし、いざというときお医者に見せるのにもいい。成長曲線からはみ出したときなどの生活改善のヒントにもなる。日記機能もあるので、残しておくとなんかいい感じ。これはタダで使える。
ぴよログはAlexaによる音声コントロールに対応している。「アレクサ、おしっこ!」と言えばその時間におしっこをした記録をつけてくれる。めっちゃいい。正直、かなり楽である。FireタブレットでもEchoでもなんでもいいんで、1台あるといい。
また、Alexaへのセリフはデフォルトではかなり面倒くさい。「アレクサ、ぴよログで◯◯を記録して」と言うのだが、聴き取ってもらえなくてムカつく。ので、定型アクションで以下のとおり登録する。格段に聴き取ってもらえやすくなり、ストレスから開放される。
やりたいこと | 実行条件(実際のセリフ) | ALEXAのアクション(アレクサに言ったことになるセリフ) |
---|---|---|
うんちの記録 | アレクサ、うんち! | アレクサ、ぴよログでうんちを記録して |
おしっこの記録 | アレクサ、おしっこ! | アレクサ、ぴよログでおしっこを記録して |
うんち・おしっこ両方の記録 | アレクサ、両方! | アレクサ、ぴよログで両方を記録して |
ミルクの記録 | アレクサ、ミルク! | アレクサ、ぴよログでミルクを記録して |
体温の記録 | アレクサ、体温! | アレクサ、体温を記録して |
最近の食事時刻の確認 | アレクサ、最近の食事! | アレクサ、ぴよログで最近の食事の記録を教えて |
なお、ぴよログでは睡眠・起床の記録などもつけることができるが、我が家では使用していない。赤ちゃんがいつ寝起きしたのか判定が難しいし、あまりに細かい記録をつけてもかえって面倒くさいだけである。
一言目にありがとうを言う習慣
配偶者が自分や娘に対してやってくれたことに対しては、一言目にありがとうと言うところからスタートする。これは我が家の暗黙のルールの中でもとびきり良い習慣だと思っている。そういうルールにしようと決めたわけではないが、互いにそうなっている。
まず、一言目が「ありがとう」なのと、不躾に本文から始まるのとでは、聞き手としては全然、然っ然、印象が異なる。場合によっては言いたいことはあるが、それより何よりまず前提として感謝をしているんだと。まずはありがとう、と。これは言われる側は勿論、言った側も気持ちいい。ぜひやってもらいたい。
商業施設の館内放送も必ず「本日は◯◯にご来店いただき、誠にありがとうございます」から始まるよね。あれです。人間イヤなもんで、歳を取れば取るほど、若い頃にはどうでもよかった「細やかな礼儀」みたいなもんが気になってくるんです。しかも商業施設の一期一会な放送とは違って、配偶者との出来事は日々、蓄積していくからね。
愛情は習慣でしかない、などというブログを昔に書いたが、言いたいことはそういうことだ。
また、これは責任の意思表示でもある。家事や育児は、そもそも自分も相手も等しく責任がある。であるから、配偶者がいてもいなくても、全て自分の責任のもとに当然やらなくてはいけないことなのである。その自分がやるべき責務を、自分でない者が拾ってやってくれた。これは文字通り「有り難い」ことなので、相手にそれを伝えるのだ。
ずっと一緒に暮らしていると、改めて相手に対して何か言葉にすることは照れくさいものになっていくのかもしれない。気持ちは分からないではないが、言わなくても伝わる阿吽の呼吸みたいなのは受け手が任意の厚意でやることであって、自分が相手に対して当然の如く要求するものでは決してないのである。
これを習慣づけるには、とにかく相手に対してありがとうと言ってみることである。コンビニ店員に対しても、あなたの素敵な接客は有り難いことなのだよ、と伝える。妻がコーヒーを入れてくれた時、犬のトイレシートを替えてくれたとき、ありがとうと言う。私も何かにつけて言ってもらっている。
いろいろ書いたけど
詰まるところ、思いやりとそれに付随する行動の実践、そしてそれを早めにやる。これに尽きる。
そのために何をしたら良いかについて、とある家庭の一例を上記したためたので、何かの参考になれば幸いである。