10月30日未明に娘が元気に生まれた。妻も娘も本当によく頑張った。たいへん嬉しい。
さて、通例、経膣分娩で特に問題がなければ産後5日間の入院となるが、我が家もそのパターンだった。その入院中に出生届や育休に係る申請書を提出することができ、子が家に来てからバタバタせずに済んだ。我ながらスムーズだったと思うので、手順をメモしておく。
出生届その他育休関係の申請を提出する手順
以下、民間企業勤めか公務員であることを前提に記述する。
一通り網羅しているつもりだが、その他会社独自の福利厚生があるのであれば忘れずに申し込む。
手順 | 書類 | アクション | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 母子手帳 | 借りる | 産院 | 分娩後は退院までの間、産院が預かっている 「出産の状態」欄等が記入されている 出生届の提出に必要 |
2 | 出生届(出生証明書記入済み) | もらう | 産院 | 産院の医師等が出生届右欄(出生証明書)を記入してもらう 出生届の様式は産院が持っており、産院がくれる |
3 | ①出生届 ②児童手当の認定請求(民間企業) | 提出する | 市役所 | 添付書類:母子手帳 ※公務員の場合、児童手当請求書は勤務先に提出 ※児童手当認定請求書の要不要は自治体によりけり。 出生届を提出するだけで児童手当の認定申請してくれる場合あり。 |
4 | 母子手帳 | 返してもらう | 市役所 | 「出生届出済証明」欄が記入されている 「出生届出済証明」欄のコピーを取っておく!! |
5 | ①住民票の写し (②課税証明書) (③出生届受理証明書) | もらう (要手数料) | 市役所 | 手順3のアクション後、住民票は即時反映される。 オプションは「世帯全員、続柄記載、マイナンバーなし」がおすすめ。 ②③については、後述の手続きで必要な場合は取っておく。 |
6 | 母子手帳 | 返す | 産院 | 退院までに産院でいろいろ書く箇所があるらしいので一旦産院に返す。 |
7 | ①家族異動届出 ②育休の取得申請 ③社会保険料の免除申請 ④児童手当の認定請求(公務員) ⑤健康保険への加入 (社会保険上の扶養届) | 提出する | 勤務先 | 職場の様式に従う。 大抵、母子手帳の「出生届出済証明」欄のコピーが役に立つ。 (公務員のみ)児童手当の申請に課税証明書が必要。 |
8 | 扶養手当の認定申請 | 提出する | 勤務先 | 職場の様式に従う。 扶養手当が存在しない会社もある。 配偶者が勤務先から扶養手当を受けていない証明が必要な場合あり。 |
9 | 税法上の扶養申告 | 提出する | 勤務先 | 年末調整のときに提出。 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で申告する。 所得税・住民税どちらも年少扶養控除はないが、 扶養人数にはカウントされる。 年収によっては扶養人数の関係で住民税が非課税になる場合あり。 |
10 | 子ども医療費助成の申請 | 提出する | 市役所 | 保険証が手元に届いたら申請可能になる。 全国すべての自治体で助成を行っているので必ず行う。 子どもを病院に行ったときに保険適用の治療が無料になったり ワンコインになったりする。 助成の程度や、対象年齢範囲、所得制限の有無に違いはある。 |
このうち、手順1〜7は妻子の入院中に、1日のうちにまとめて終わらせることができるので、やってしまった方がいい。手順8〜9については出生時時点では材料が足りないのでしばらく待つことになる。
各手順について詳述
さっきの表で書いた手順について、以下詳述する。
【手順1・2】産院で母子手帳を借り、出生届の出生証明書欄を書いてもらう
前提として、出生届を提出しないとその後の申請(児童手当、職場への育休申請、育児休業手当金申請、扶養手当、子ども医療費助成など)が何もできない。大抵は母子手帳の「出生届出済証明」欄のコピーが添付書類として必要であり、これは出生届を提出したときに役所の担当者が書いてくれる。
というわけでまずは出生届を提出することになるが、提出に当たっては様式の右側「出生証明書」に医師等が記入押印をした状態の出生届と母子手帳が必要となる。
通例、母子手帳は分娩時〜退院まで産院が預かっており、逐次、必要事項を助産師や医師が記入していくこととなっている。そして退院時に出生証明書欄記入済み出生届と母子手帳をもらうことができるのである。
つまり放ったらかしておくと退院まで何も届出や申請が開始できない。これまでの歴史的経過から病院側にそもそも「夫が妻の入院中に休みを取りその休みを利用して各種の届出や申請を終わらしておくことができる」という想定がないのである。だが子が家に帰って来てしまったら産褥から回復しきらぬ妻に子の世話を任せて役所や職場に奔走しなくてはならなくなりバタバタする。これは非常に良くない。
これを避けるため、分娩が終わったら出生証明書欄記入済み出生届を作ってもらい、母子手帳を一旦借り受けるという方法をとる。事情を説明して担当の助産師や医師にお願いすれば退院前に用意してくれる。実際に私は妻の入院2日目で書類を受け取った。
ちなみに母子手帳は母、つまり妻のものなので、夫が産院から直接受け取ることはできない。また、分娩直後は医師等も妻もそれどころではないので、その後の面会時に妻の病室で受け取る。
- 分娩が済んだらまず(落ち着いたタイミングで)、退院を待たずに出生証明書欄記入済み出生届の作成と、母子手帳の借受を産院の助産師や医師に依頼する。産院に事前に伝えておくのもあり。
【手順3〜6】役所で出生届・児童手当の認定請求をし、ついでに後で必要になる各種証明書を取得する
前提として子の名前が決まっていたほうがいい。未定だと住民票とかの名前が変なことになり、育休請求とかでも躓く感じになりかねない。
出生届の左欄(子と親のプロファイル)を記入やつと、母子手帳と身分証とハンコを持って役所に行く。出生届は役所の記載台で書いても構わない。大体は戸籍・住民票担当とかが受付窓口で1Fのどっかにあることが多い。
児童手当の申請には通帳やマイナンバー確認書類が必要だったりするので事前に提出先自治体のウェブサイト等で確認されたい。
出生届や母子手帳等を提出すると、子の名前の漢字の確認等をしてから、役所の担当者が住民記録に登録する等の作業を行う。この記録作業に時間を要する(スゲェ待たされる)場合がある。
一連の作業が終わったら母子手帳に役所職員の筆跡で「出生届出済証明」欄が記入されたものが返却される。字が汚かったりするが効力に違いはないので気にしないこと。
ちなみに開庁時間外に守衛室に出生届を提出した場合、住民記録の登録作業に回されるのが翌日の昼以降だったりするので、即時反映を求めるのであれば開庁時間中に届け出るほうがいい。
出生届の提出が完了したら必要に応じて住民票と自分及び配偶者の課税証明書を取得しておく。以降の勤務先における育休や各種手当等にほぼ必ず必要になる。
住民票のオプションは「世帯全員分、続柄記載あり、マイナンバーなし」がおすすめである。マイナンバーがあることで提出先で扱いが面倒なことになる可能性がある。職場の取扱いルールを先に確認されたい。
課税証明書は扶養手当や公務員の児童手当請求で必要になることが多い。所得証明と課税証明とがあるが、課税証明には所得証明の内容が全て含まれているので課税証明を取っておくと安心である。また課税証明書はコンビニ交付も可能ではあるが配偶者分はコンビニ交付を受けられないので、出生届出時に役所で取得しておく。
ちなみにちなみに、各種申請に係る証明書には戸籍の謄本や抄本が使えることも多いが、戸籍は出生届の提出後に審査が行われてからの反映になるのでその日のうちに反映されない(2週間ぐらいかかることもある)。なので1日で各種申請を終わらせてしまいたい場合にはおすすめしない。
各種の証明書等をゲットしたら母子手帳の「出生届出済証明」欄のコピーを取って産院に母子手帳を返す。この母子手帳のコピーが色々とパワフルな証明になるので必ず取っておく。
- 出生届の提出に役所に行ったときにその後必要になる証明書類をすべて取っておく。
- コンビニじゃなく役所に行かなきゃ取れない証明書もある。
- 戸籍は時間がかかるので住民票とか母子手帳のコピーとかのすぐ取得できる書類を利用する。
【手順7】出生後すぐ、1日でざっと職場に申請するアレコレ(育休申請、社会保険料免除、保険加入ほか)
前提として、職場には育休を取る旨を重々相談しておき合意を得ておく必要がある。この「合意」は会議など開いてしっかりめに得ておいたほうがよい。というのも男性の場合、子が生まれてからしか正式な育休申請ができず、出生以前にあっては非公式な約束に留まってしまうためである。根回しが大変重要である。筆者もしっかりめに職場と交渉・合意形成をした。その経過については下記記事を参照されたい。
ということで、先述のとおり証明書類が揃ったので職場に育休取得に必要な申請を行う。このうち1日のうちに行なってしまえる申請は以下のとおりであり、また、以下の順序で申請するとよい。
- 家族増えたよ!家族構成変わったよ!という申請。「家族異動届出」とかそういうの。職場によって有無の差があると思われる。
- 育休取るよ!という申請。「育休取得申請」とかそういうの。これの決裁が通って初めて、上記の根回しが成就する。
- 育休取るから社会保険料の支払い免除して!という申請。「社会保険料免除申請」とかそういうの。
- 児童手当くれ!認めろ!という申請(公務員のみ)。「児童手当認定請求申請」とかそういうの。
- 生まれた子どもの保険証つくってけろ!という申請。すなわち、“社会保険上の扶養に入れる”という申請。「扶養届」とかそういうのを提出する。
このあたりは職場それぞれの申請様式があり、添付書類にも若干の差がある。令和5年時点ではまだまだ男性育休について世間の理解が乏しく、職場においてもまとまったマニュアルが制定されていない場合が多い。
足りない書類とかがあるとまた役所や産院に行く必要が生じるので、1日で全部終わらせるためにも、生まれる前までに人事担当に何をどう申請すればいいのか根掘り葉掘りウザいぐらいに訊いて書き出しておくとよい。
- 職場における根回しは事前に徹底しておく。
- 順序よくモレなく1日で終わらせるためにも、事前に人事にウザいぐらい確認しておく。
【手順8〜10】出生後すぐには申請できないアレコレ(扶養手当、税法上の扶養申告、子ども医療費助成)
扶養手当に関してはその条件に「配偶者が扶養手当を受け取っていないことの証明」が必要だったりする。この証明書は子が生まれてから配偶者の職場に作ってもらう必要がある。その証明書を依頼して作ってもらい、それを受領してから申請できるようになる。
税法上の扶養申告については年末調整のときに異動報告する。今や年少扶養控除は存在しないので大抵の場合は何の得もない。あるとすれば扶養人数のカウントが変わるので年収によっては住民税の所得割・均等割が非課税になったりするぐらい。多くの場合やってもやらなくても同じだが一応申請しておくとよいだろう。
子ども医療費助成は全国どこの自治体でもやっているので申請しておくべし。ただ、申請には子の保険証が必要で、保険証が手に入るのは保険加入申請から数週間後とかだったりするので、申請できるようになるまでしばらく待つ必要がある。
いやーしかし、こちらの心の準備はできているのに相手がボールを打ち返してくるのを待っている状態ってソワソワするよね、苦手だわ。
以上。