ビルバオで食べたどん兵衛とUDON

3000文字チャレンジ

2019年7月、新婚旅行でスペインを訪れた。

その4日目と5日目、日本食をちょいちょい挟んだ。
寿司屋にも行ったし、実は2度、うどんを食べた。
その時のことや、思ったことを記す。

新婚旅行4日目。

私達はビルバオにやってきた。

ビルバオはスペイン北部・バスク地方にある街であり、バスクの首都である。
スペイン語とは異なる文化圏にあり、バスク語が話される街だ。

この新婚旅行、仕事を1週間休んで実現した。
土日月火水木金土日というスケジュールで、9日間ある。

スペインに行こうよという話で進めており、
途中、トランジットを長めに取って、中国・北京の観光もするという、欲張り旅行だ。

これまでの私たちの旅は順調だ。
幸い、食事がかなり美味しい。
これまで食べてきたもので、印象的なものを振り返ろう。

1日目は中国・北京。
・北京ダック
・アヒルのパイタンスープ
・カリフラワーとナッツの炒めもの
・ビール!

2日目・3日目はスペイン・グラナダ。
・アンチョビとトマトのサラダ
・ハムとチーズの美味しいハンバーガー
・リオハの赤ワイン
・しぼりたてのオレンジジュース
・なんでもないハムチーズサンド
・パエリア
・ビール!!

そして4日目、スペインバスク・ビルバオ。
・ブルーチーズの入ったスパニッシュオムレツ
・バターのめちゃくちゃ効いたデニッシュ
・クロワッサンのBLTサンドみたいなやつ
・ビール!!!

特にビルバオは、隣街サン・セバスティアンと並んで「美食の街」だ。
日本で言うところの立ち飲み屋みたいな、ハシゴすることを前提とした「ピンチョス屋」がある。
カウンターだけの店に、オムレツやら海鮮やら、
「ピンチョス」と呼ばれるたくさんの小料理が並べられている。
それぞれのピンチョスはサイズが小さく、串が刺さっているものもある。
その場で見て選んで、これがいい!って指をさせば、店員さんが取ってくれるので、注文しやすい。
そしてどのピンチョスも、揃いも揃って美味いのである。

そんなこんなで、とにかく美味しい食事に恵まれている今回の旅行。

ただ、美食の街にやってきて、本当に贅沢な話なのだけど、
日本のメシが食べたくなってきた。

どの飯も美味しいんだけど、なんか、強い。
別段味が濃いわけでもないんですけど、
「美味いから!!食べぇ!!ホラァ美味いやろがい!!」
みたいなこう、島国にはないグイグイ感。

まぁ私は食えりゃなんでもいいと思っている不粋人間なのですが、
妻は、初めて行った外国が台湾、そして今回の新婚旅行。
4日間も外国にいたことがないのです。

場所も場所で、例えばスペインの中でもバスクを旅行先に選ぶ日本人はあまりいない。
ビルバオの街を散歩し、あたりを見渡せば、東洋人があまりいないのです。
カフェで大型犬を連れてビールを飲むダンディな白人はいるけれど、黄色い人たちはいない。

そんなこんなで私達、少し、日本の味が恋しくなったようです。

さて妻、今回の旅行に先立ち、職場の人から海外旅行の情報を仕入れていた模様。
なんでも食に関するホームシックは、どん兵衛が助けてくれると誰かから聞いたらしい。
どん兵衛といえばあの、日清食品のどん兵衛のことだ。
「かばんにミニどん兵衛入れていっていい?」「あぁいいよ」
というわけでミニどん兵衛を2つ連れてきた。

4日目の夜にどん兵衛の存在を思い出した。
ピンチョス屋でまぁまぁ飲み食いして、楽しんで帰ってきた日の夜である。
ブルーチーズのオムレツ、マジ美味かったなぁ。美味かったんだけど。

「シメにどん兵衛食べようよ!」
「いいね!」

というわけで、ビルバオの宿にてミニどん兵衛のカップに熱湯を注ぐ。

宿は新市街のエリアから橋を渡って、石造りの立派な市役所の側。
旧市街の入り口近くにある、趣ある建物の中にある。
昼には、グッケンハイム美術館の奇特なオブジェも見える。
ビルバオはかなり都会なんだけど、非常に治安のいい街で、
夜は誰かが騒ぐでもなく、とても静かだ。

案外ビルバオは蒸し暑かった。
前日はスペイン南西部グラナダ。しっかり地中海性気候(Cs)でカラッとしている。
そこから山脈を隔てて、北大西洋側にあるのがビルバオだ。海洋性気候(Cfb)である。
風向きとか潮の流れが大いに関係しているのだが、そのへんは忘れた。
なんせカラッとはしておらず、日本の夏みたいな入道雲が見えるし、雨も降る。

そういうわけで、夜な夜な窓をがばっと大きく開ける。
部屋着はタンクトップである。
窓から外を眺めながら、2人で並んでミニどん兵衛をすする。

美味い。
いつも食べ慣れていた味を思い出す。
食はすごい。数万キロ離れたふるさとを思い出させてくれる。
1年に1回、食べるか食べないかのどん兵衛ですら、そうなのである。

窓の外にはたまに人通りがある。
部屋には照明が灯っているから、暗い夜道から私達の部屋が見えたかもしれない。
覗いてみれば、東洋人2人が並んでうどんをすすっているのである。
まぁそれはそれでちょっと面白いかな、ということで気にせずどん兵衛をすすった。
美味しかった。

5日目。
朝起きて、ビルバオからバスで1時間半、隣街サン・セバスティアンに行った。

サン・セバスティアンは、フランス国境に近い観光地。
海に面しており、バカンスとして訪れていると思しき人も多い。
ここもまた、東洋人は結構珍しいのだ。

前述のとおりサン・セバスティアンもバスクの美食の街である。
至るところにピンチョス屋さんがある。
また、ビールのサイズに「スリート」というサイズがある。
これはスモールより小さく、グラスに半分注いでくれるのである。
ぜひピンチョス屋をハシゴしてくれと言っているようなものがある。
ムール貝やら何やら、何を食べても本当に美味しい。

サン・セバスティアンの旧市街を散歩していると、
海岸にほど近い場所で、寿司屋を見つけた。
面白いので入ってみた。

ビールはキリンビールが置いてあったし、日本酒も様々な銘柄があった。
メニューはまぁ日本語で書いてあったが色々不安があったがので、
とりあえずサーモンとイカの握りを食べた。
美味しかった。
店員は日本語はわからないようだった。

サン・セバスティアンからは日帰りでビルバオに戻った。
もう胃がバカになってるので腹がとにかく減ってる。
と同時に、やっぱり日本食を食べたいという気分でもあった。
なんだろうな、バターと小麦にやや疲れたのかもしれない。

と、近くにUDONなる文字が書かれてある店があった。
なんかめっちゃ日の丸で、紅白デザインの店なのである。
雨が降ってきたのもあり、店に入った。
内装は白を貴重とした、モダンな印象だ。

さて、店内には、東洋人の先客がいた。中国人だ。
ビルバオでは珍しい東洋人も、ここにはいる。
住んでいる人なのだろうか、それとも我々と同じようにアジアが恋しくなった旅行者なのか。

妻とテーブルについて、メニューを開く。

メニューを開くと、冒頭のページに「日本の心は…」と書いてあって。
うどんがどうのこうの、と書いてあったように思う。
でも確か、背景の写真はラーメン屋の店内の風景だった気がする。
そのへんについてはビルバオ人からすれば、どちらでもいいのである。

それから、麺類のページ。
うどん、ラーメン、焼きそば、なんでも食べられる。
さらにページをめくる。
寿司、テンプラ。小籠包、八宝菜、麻婆豆腐。なんでも食える。

要するにUDONショップは、アジア全般の料理が何でも食べられるお店なのである。
日本で言うところの東南アジアエスニック料理店のようなものだろうか。
タイ料理、ベトナム料理、インドネシア料理、なんでも食べられる。

きつねうどんを注文した。
しばらくすると、きつねうどんがやってきた。
いただきます。
麺は給食のソフト麺とまではいかないが、やわらかい。
ダシは、なんだか甘みが強い。みりんか砂糖かが入ってある。大味だ。
それから、ネギときつねは細かく刻んである。
このUDONは、日本のうどんとは違うが、じゃあ何かと言われれば間違いなくうどんなのである。
面白いから言っているだけで、美味い。おいしい。

それから店内を少し見渡すと、現地ビルバオ人と思しき女性がいた。
20歳前後と思しき、おしゃれな感じの白人だ。
一人カウンターに座ってうどんを食べている。
日本食が好きなのだろうか、それともたまたまだろうか。

その女性からは、日本という国はどんな国に見えるのだろうか。
ざっくりアジアの方!という認識なのだろうか。
寿司!テンプラ!アニメ!サムライ!ゲイシャ!なのだろうか。
それとも、いろいろご存知なのだろうか。
甘いうどんを食べながら、どんな人や場所を想像してくれているのだろうか。

私達にとっても、ビルバオは来てみるまで謎の多い街であった。
来てみなきゃ、体験してみなきゃその国のことは分からないものである。
これだけインターネットやメディアが発達していても、
国や距離を隔てると大づかみにぼんやりとしか分からないものである。

ただ、大味のそのUDONは、
中弛みを迎えていた私達にとって、私達にとって有り難いもので、美味しかった。
なんというか、遠くに来たもんだな、と痛感したのだった。

残りの日程は、バルセロナに行った。
日本食のことは忘れて、そこでしか食べられないものをたくさん食べた。
そのどれもが美味しかった。

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「3000文字チャレンジ」第77弾【うどん】

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